蜂仕事と瀬戸内の春
2月、島で梅の花が咲き始める頃、天気の良い暖かい午後に冬ごもりしていた蜂箱を開けて「もうすぐ春だよ!準備を始めて!」と告げる。具体的には冬ごもりの餌用の蜜枠など無駄な巣枠を抜いて蜂の密度を上げると共に代用花粉や必要に応じて糖蜜を給餌する。
3月、桜の開花とともに蜂が勢いづく。どんどん巣を盛り、産卵をする。まだまだ早朝は冷え込むので蜂密度が下がって蜂が冷えないように注意しながら新しい巣枠を挿して蜂数を増やしていく。
4月、桜が散り、蜂の勢いが一度落ちる。新しい巣枠を挿しても全く盛ってくれない。蜂たちはヒサカキや野草(ホトケノザ、オオイヌノフグリ、カラスノエンドウ)、野菜(ネギ、大根、蕪、ケールなどなど)の蜜をせっせと集めるが蜜源の絶対量が限られるので蜂数はゆっくりと増える。
5月、島のみかんの花が順番に咲き始めて蜂が急に勢いづく。ミツバチは1年で一番蜜が豊富なこの時期に群れを増やすために分蜂するので、子孫を残すために新しい女王蜂を作ろうとする。巣には新しい女王蜂が残り、古い女王蜂は今まで頑張って作った巣と働きバチの半分を新しい女王に残し、新しい巣を求めて旅立つ。こっちは蜜のお裾分けが欲しいので「分蜂はもう少し待ってね」と小まめに女王蜂の巣房を取り除く。巣箱から蜂が溢れるくらいになると、巣箱を2段にして採蜜の準備に入る。
横浜でサラリーマンをしていた頃、桜の開花くらいしか気にしていなかった。島に来て、養蜂を始めて、日々の気温の上がり下がりや道端の花に目が行くようになり、春、一日一日暖かくなるにつれてこんなに沢山の野花が順番に咲いていることを知った。
島に来て、下がった収入と対照的に生活は随分と豊かになったなぁと感じる。そろそろ採蜜の季節。今年も無事にミツバチたちのお裾分けがもらえるだろうか。
Kura-Kura農園
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